「小説:著者名 た行 」 の記事一覧
2010.12.02 Thu
プリンセスハーツ~今宵はせめて夫婦らしくの巻~ 高殿円
「ジルに伝えてくれ。――今夜は、そちらに泊まると」アジェンセンを囲む国々の政略が錯綜する中、ついにパルメニアの王冠がルシードの目前に……!? それぞれヴィスタンシア、パルメニア行きの準備に追われるジルとルシードは、野望の達成が同時にふたりの別れを意味するという事実に気づく。もう二度と会えないかもしれない。夫婦でいられる時間は、今宵が最後かもしれない――ようやくお互いへの気持ちに気づいたふたりは……? 恋と野望が渦巻く王宮ロマン、急展開! (裏表紙と帯より引用)
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8巻。 つ、ついにこの時が来たー!!打倒パルメニアの野望が達成しつつある中、ついに仮面夫婦が「恋」を自覚! 今までの自覚していない状態でのアホラブもとても好きでしたが、やっぱり最終的には自覚してもらうのが1番です。「それは恋ですよ」と指摘したリドリスとナンセ夫妻マジグッジョブ。 お互いの気持ちを伝えあう終盤のシーンはもう萌え転げまくり。己の脆さを露呈して真剣に想いを伝えるルシードにもニヤニヤしたけれど、メリルローズに嫉妬し「誰にもルシードを見せたくない」と存外激しい面を見せたジルにもニヤニヤ。萌えるなぁ萌えるなぁ。まぁ、それだけに甘い雰囲気をぶち壊す相変わらずのジルには、吹き出しつつもちょっと脱力したけれどね! 「山盛り!!」、「へばりつきたい」、「密接します!」…。ジル語に目を点にしながらも、最終的には悟りを開いたルシードには同情します。うん、ジル語は翻訳した方が良いと思う…。 これからが夫婦の本番!というところで離れ離れになったのは残念ですが、それでもこの2人にしては十分に甘くて良かったです。 あと、ケイカとオースの関係が気になっていた身としては、見事に2度目の恋に落ちたらしい雹王子に思わず拳を握りました。ケイカをもの扱いしているのは気に喰わないものの、彼の恋は応援したい! ジルとの頭脳戦で少しばかり痛い目見て考えが変われば良いんですがねー。 陰謀面としては、オズマニア親子が色々仕掛けてこようとしていますねー。今のところジルたちの想定の範囲内ですが、そう上手く打破できるとも思えないし、どうなるんでしょうか。ニーレン=ホンジュはただのサブキャラかと思ったら、あとがきによると重要なキャラらしいので、こちらがどう動くかにもよりますね。ヴィスタンシアもキーマ=パパラギと因縁があったりで、本筋に予想以上に絡んできそうな感じ。ハクラン王の双子の妹関係かな? 色々と不利な状況が続く中、ルシードに新たに強力な味方が出来たのは良かったです。4人の竜騎士団長はお気に入りだったので、今後の更なる活躍に期待。リドリスも今のところ頼りになる味方なんですが…未だに何を考えているのかがよく分からないからなぁ…。ただのブラコンで、ルシードに逆らう気は毛頭ないのかもしれませんが、5巻最後の言動を見るに何かをやらかしそうなんですよね。本当に何を考えているの…。 終わりが見えてきましたが、まだまだ多くの謎は残されているので、続きがとても楽しみです。どうか、大公夫婦が幸せになれますように。 関連記事:7巻(短編集)『プリンセスハーツ~君は運命の人だからの巻~』の感想
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小説:著者名 た行
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2010.11.23 Tue
プリンセスハーツ~君は運命の人だからの巻~ 高殿円
“恋のたまごは、突然の衝動。 枝葉を伸ばし、熱い胸をつきやぶり、 きみの手足を勝手に動かす、悪い魔物”いま明かされるミゼリコルドの秘密……! (「私の願いを叶える者よ」) メリルローズの誕生日、戸惑うジルにルシードは? (「月色賛歌」)――他、ケイカとオースの過去編、リュリュカの恋人探し騒動など、5つの短編を収録した豪華短編集! コメディあり、シリアスあり、登場人物勢ぞろいの見逃せない一冊。プリハワールドがディープにわかるガイドページ、ドラマCDもついた特別編! (裏表紙とP25より引用)
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シリーズ7冊目にして初の短編集。 あらすじにもあるように、コメディあり、シリアスありと盛り沢山の短編集で面白かったです。 ◆恋のたまご実家に連れ戻されて結婚させられる運命を回避するために、恋人を探すリュリュカの話。 リュリュカの株が物凄い勢いで上がりました。常に前向き全力投球なリュリュカの言動が面白かったですが…いやー、まさかマシアスとフラグが立つとはー。確かに言われてみれば、猪突猛進なリュリュカをマシアスが抑え、後ろ向きなマシアスをリュリュカがグイグイ引っ張っていけるので相性は良さそうですよね。 でも、リュリュカって今まで殆ど本筋には絡んでこないサブキャラだったし、本編で明かされたマシアスの過去が重すぎたしなぁ…。しかもマシアス失踪中なので、今のところリュリュカの恋が叶う見込みがあまりないような…。…それでも私はリュリュカの恋を応援したい! あと、“殿下とマシアスさまの将来を憂い隊”って、もしかしなくても…腐女子…。 ◆月色賛歌メリルローズの誕生日。誕生日を知らないというジルに、ルシードが取った行動とは…? 誕生日を知らないジルへのルシードの言葉は、ジルが予想している通り、かつてのルシードが本当は言ってほしかった言葉なんでしょうね。ルシードが反逆を決意した時のエピソードには、彼の孤独が垣間見えて切なくなりました。両親が嗣子であるルシードを疎んじ、弟のリドリスの方を溺愛した理由は何なんだろうなぁ…。 で、途中まではしんみりと良い雰囲気だったのに…ジルの某発言のせいで台無しだよ! いや本当に、何故そうなる!? というか、ちゃっかり作戦立てているということは、もしかしてルシードは自覚済みなんですかね? その作戦も予想の斜め上を行かれてしまいましたがw これはルシードが頑張っても、ジルが自分の気持ちに気づかない限り進展しないんじゃ…。いや、今のアホラブもとても楽しいけれど。 酔っぱらったジルと狼狽するルシードを、満足そうに見守っている兵たちには吹いた。 ◆ひとたび、王女に生まれたのなら。ケティクークとオースの過去話。 ケイカの幸せな閉じた世界がオースたち親子に壊されるのは分かっていたことですが、やっぱり重いですねぇ…。弱肉強食だから敗れたらそれまでとはいえ…。 でも、個人的にはケイカとオースの仲が良い方向に変わることを期待したい! 本編ではオースの初恋がケイカと思ったらまさかのソルニャーナでちょっとガッカリしたんですが、今回の話からするとまだ可能性はあるような感じがするので。オースが2度目の恋に落ちるのは、ケイカでいいのかな? ◆大公殿下の温泉休日タイトルの通り、ルシードが休暇を取って温泉に行く話。 いつかの付属ドラマCDの脚本? ひとまずルシードが相変わらずヘタレで、ジルは相変わらずずれていますね! 基本的にコメディですが、マシアスとルシードのやり取りは本編の展開がアレなだけにしんみりしました。マシアス戻ってこーい! ◆私の願いを叶える者よある日の、ジルとミゼリコルドのやり取り。 短い話ですが、かなり重要な伏線がビシバシ出てきたような…。ミゼリコルドの本来の主とか色々気になる! あとヘスぺリアンの説明は興味深い。やっぱりこの作品では「双子」はキーポイントなんですかね。 最後のシリーズナビも、なかなかに読み応え有って面白かったです。用語集がいいなぁ。 短編集でありながら、ミゼリコルドやロレアン等の伏線も張られていて、ますます本編の今後の展開が気になりますね。メリルローズはルシード大好きなヤンデレで合っているんだろうか…。何にせよ、本編の続きも楽しみです! 関連記事:6巻『プリンセスハーツ~誰も代わりにはなれないの巻~』の感想
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2010.11.19 Fri
世界の果てで待っていて ―天使の傷跡― 高遠琉加
「いつかわかるさ。いつか君の心が、君自身を裏切る。そうなってからが、人生はおもしろいんだ」元刑事の黒澤統一郎は、渋谷区神泉に黒澤調査探偵事務所を構えている。そこにはいろんな人生を抱えた人が訪れる。ある雨の日、少女と見紛う少年・奏がやってきた。三年前に行方不明になってしまった双子の兄・律を探してくれ、と。一度は依頼を断った黒澤だが、かつての同僚で現役刑事である櫂谷雪人もある事件の関係で律を探しており、ふたりは協力することになる。静と動。理性と本能。好対照な雪人と統一郎の関係は、統一郎が刑事をやめてからも続いていた。甘い一夜の記憶を忘れたふりをして。複雑に絡み合う過去と現在。彼らの未来は――!? (裏表紙とP215より引用)
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※ BLなので、苦手な人はそっと追記を閉じましょう。5年ぐらい前の本を新たに出し直したそうで。本屋でふらふらしている時に見かけて気になり、その後調べてみたら評判も良かったので購入。一般の事件ものにBL要素が少し混ざった硬質な雰囲気で新鮮でした。 2年前に唯一の肉親であった妹・澪子を強盗に殺されたことを機に刑事を辞めた探偵・黒澤統一郎と、かつて彼と度々コンビを組んでいた現役刑事・櫂谷雪人。同時発売された2巻のあらすじからすると、このシリーズは巻ごとに統一郎に持ち込まれる依頼に雪人も関わって、その合間に澪子の事件の真相に迫っていく感じなのかな? 今回の依頼には中学生の双子と画家が絡んでいましたが…なんか妙に切ない終わり方でした。最後の電話のシーンの律がとても印象的。中学生であそこまで悟ってしまった律が、今後どのような人生を歩んでいくのか気になります。どちらも後悔していないし、不幸だとも思っていないんだろうけれど、そう遠くないうちに「その時」が来るのは分かっているからなぁ…。 で、メインの統一郎と雪人ですが…あぁ、もう焦れったい! というか、れっきとしたBLレーベルから出ているのに、回想でしかBLらしいシーンがないとは!! そのBLシーンも、大切なものを喪い絶望に呑まれかけたのを慰め合った…という状況なので、甘い雰囲気なし。雪人に至っては、男にそうされる羞恥や嫌悪で一杯で、基本的に痛がっていましたしね。そしてその後は、何事もなかったようにお互いにいつも通り振る舞っているので、甘いシーンがないという…。個人的にガッツリBLよりはこういう微妙な関係の方が非常に萌えるので、全然構わないんですが、それでももうちょっと甘いシーンが見たいです…。 統一郎が雪人に惚れているのは確かだし、雪人も統一郎を大切に思っているのにねー。今の居心地の良い関係を壊したくないという気持ちもあるだろうし、雪人が男とそういう関係になることに躊躇いを持っているというのもあるんでしょうが、それ以上に澪子の事件が2人の間に横たわっているんでしょうね。この事件が解決しない限り、2人――特に統一郎は「過去」から踏み出すことが出来ないのかな…。 書き下ろしの「イミテーション」は、統一郎がまだ刑事をやっていた時の話。雪人視点で、統一郎の第一印象とかが語られていて良かったです。今度は統一郎視点で、2人が出会った時の話を読みたい。統一郎って、いつも笑って気持ちを抑え込む傾向にあるからか、どうも雪人への想いが見えにくいんですよね。時々、「とんでもなく可愛い」とか思っているけれど。なので、どういう経緯で雪人に惚れたのかが知りたい…! 今回はキャラ紹介といった感じでしたが、2巻では大きく澪子関連に進展があるようなので、近いうちに続きも読むつもりです。
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2010.08.24 Tue
サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ 土屋つかさ
あの夏の直前、カズマはOZの危機に出会っていた!!ネット上の仮想世界OZで、“キングカズマ”として名を馳せる佳主馬は、ちょっとドジなアバター【マキ】と出会う。しかも【マキ】の本体である真紀は佳主馬がいるネットカフェの隣席におり、彼女が兄から預かったデータを狙う男たちに襲われていた! 真紀を助けた佳主馬は、男たちから逃げるうちにそのデータがOZに莫大な被害をもたらすものだと知るのだった。真紀とOZを守るため、佳主馬と“キングカズマ”は戦いに挑む!! (裏表紙と帯より引用)
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映画サマーウォーズのオリジナルノベライズ。 本編で良いポジションにいた中学生・佳主馬が主役で、あの事件より約三ヶ月前の話。 ゴールデンウィークの初日、OZのある重要なデータを持っていた真紀と知り合ったことで、サイバー犯罪に巻き込まれた佳主馬ですが、相変わらず中学生とは思えないほど大人びてますねぇ。真紀を守りながら、現実とOZ両方で敵を追い詰めていく佳主馬は小さくてもかっこよくて、真紀が時々ときめいてしまうのも分かります。頭の回転速いし、女顔とはいえ顔が整っているのは間違いないし、強いし、性格は無愛想だけれど根は優しいし、本当に将来有望ですね! でも、今回主役になったことで、年相応の一面が見れたのも良かったです。事ある毎に真紀を意識して赤くなる佳主馬にニヤニヤ。思春期だもんねー気になるよねー。 内容の方は、とても良いノベライズでした。いじめを乗り越えOZでも王者となったはいいものの、戦う意味を見失ってしまった佳主馬が、支えてくれている周りに気付き、大切なものを守るために再び立ち上がる…。終盤のチャットバルーンは、ネットだからこその繋がりですよねぇ。“キングカズマ”が如何に愛されているかが伝わってきます。 佳主馬の戦いを実際に手助けしてくれた人たちとの繋がりも良かったけれど、本編を知っている身としては、特に【KK】の活躍にニヤリ。良い仕事するなぁ。もちろん、栄おばあちゃんたちも素敵でした! いやいや、やっぱり陣内一族は敵に回すと怖いですね。今回は佳主馬をサポートするだけだったものの、この一族の絆の強さと顔の広さとそれぞれの立場を利用すれば、大抵の敵は返り討ちにできる気が…。あと、理一さんは本当に自衛隊で何の仕事をしているんだ…。 読み終わった後は、本編同様に人と人の繋がりに心が温かくなり、また本編を見たくなる作品でした。 あと、余談ですが、私も予備知識なしに映画を観に行って、最初佳主馬を女だと思っていました…。今見たら普通に男にしか見えないけれど、声高いからボーイッシュな女の子だと思ったんだよ!
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2010.02.22 Mon
花咲く丘の小さな貴婦人(リトル・レディ) 荒野へ、心に花束を抱いて―前編― 谷瑞恵
「ジェラルド、わたしを忘れてないの? ……だったらなぜ、あなたはここにいないの?」新しい校長の方針によって男子校の授業を受けられなくなってしまったエリカたちは、最上級生としてある知恵を絞り…!? ナイトリー・レディズ・カレッジを卒業後、友人たちはそれぞれの夢を胸に旅立ち、エリカはオールソップ家の女准男爵(デイム)として町に留まる。アメリカに渡ったジェラルドとは文通を続けていたが、投資家の青年ヴィクターが近づいてきて…!? 大人になった彼らのグランドロマン! (裏表紙とP165より引用)
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お久しぶりのシリーズ、第4巻。 これまで学校生活を中心に話が進んでいたシリーズですが、今回の中盤でついにエリカたちも卒業して大人の世界へ。女の子同士でキャッキャッと楽しそうにしたり、男の子との恋愛に悩んだりしている彼女たちの印象が強いだけに、夢に向かって進んでいく姿に感慨深くなりました。特にエリカなんて、当初はイギリスの作法も分からず、ジェラルドたちと口論したりとお転婆だったのに、今や街や家のことを考える立派な女准男爵ですからね! 世間知らずなところもまだあるけれど、それでもずいぶん立派になったよなぁ…。 ただ、大人の世界に踏み込むということは、責任も重くなるということで。財政が苦しいオールソップ家を建て直すために最も手っ取り早い方法…。現実と理想の間で揺れ動くエリカが、読んでいて痛々しかったです。1番良いのは、ジェラルドと結婚できて、自分の力でオールソップ家を守っていくことなんでしょうが、状況的にそうも言っていられなくなりましたし…。 というか、そもそもジェラルドの態度も悪い! ジェラルドも色々と大変だったようだし、あの約束をしてしまったからには何もしないで帰れなかったんだろうけれど、4年も連絡しないとはどういうことか!! 一応エリカが他の男とくっつく可能性も考えてはいたようですが…。だからか、割合大人しく引っ込んだけれど、最後にちょっと本音出たよね…。 2人とも不器用で言葉が足りないから、どんどんすれ違っていくのが辛い…。ジェラルドもエリカも変に物わかりがいいせいで、言いたいことを抑え込んじゃうんですよね。だから相手が勘違いしていることにも気付かず……あーもどかしい! あと、ヴィクターは悪い人ではないと思いますが、結構無神経ですよね…。この人の考え方は、あの時代だと普通だから仕方ないんだろうけれど。 卒業してから全然出てこなかったイザベラはどうしているんでしょうかね。スライマーン絡みで出てきそうですが。ユージーンとの関係も気になります。 あと、ジェラルドが如何にして成功したかは…今回の最後にチラッと出てきたし、もう書かれないか…。エジプトで死にかけていたのに、次に出てきた時にはもう事業に成功していたので、「いつの間に!?」とちょっと戸惑ってしまったんですよねー。だからもう少し詳しく書いてほしいなと思ったんですが、これ以上書くと話がグダグダになりそうだし仕方ないですね。 何にせよ、次でこの物語は完結! すぐに続きが読めそうなので、楽しみです。 関連記事:3巻『花咲く丘の小さな貴婦人(リトル・レディ) それは青いすみれの季節』の感想
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2010.01.22 Fri
プリンセスハーツ~誰も代わりにはなれないの巻~ 高殿円
「いつだって、人間は心で生まれた感情をすべて的確に言葉になんてできないんですよ。だからすれ違う」身代わり大公妃ジルの言った『わたしをもっと可愛がりなさい』の真意を悩み続ける大公ルシード。そんなある日、ルシードの腹心マシアスが消えた!? マシアスの秘められた過去が明らかになっていくなか、ジルとルシードは互いを思い遣るあまりに心が思わぬ方向へすれ違ってしまい……!? そしてルシードの手によって地下に幽閉されていた弟リドリスがついに……!! 仮面夫婦が織りなす恋と野望の王宮ロマン!! (裏表紙とP170より引用)
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6巻。 初っ端からマシアスの予想以上にハードな過去話が繰り広げられて驚きました。うわー、なんて重いんだ。あの金時計にはそういう意味が隠されていたんですね…。 今回は棄てたはずのその過去が問題となり、マシアスが失踪することに。マシアスが置いていった金時計を大事に持ち歩くルシードが非常に寂しそうで、読んでいてちょっと辛くなりました。その生い立ち故か、ルシードは元々「自分の側にいてくれる人」にこだわるところがあったけれど、今回の件でますます酷くなってしまったのが心配。…とか思ってたら、早速リドリスに心を許し始めちゃって案の定だよ! 新法王へのアピールのためにリドリスを地下から出しても、そう簡単には兄弟の関係は修復されないかなと思っていたんですがね…。マシアス失踪で心に穴が空いたところに、本当にするりと上手くリドリスは入り込んだなという感じ。兄弟萌えとしては嬉しい状況なんですが、リドリスの真意が未だに見えないので、リドリスにべったりなルシードに不安を感じずにはいられません。リドリスにルシードへの害意がないにしても、前巻の最後とかからして兄にかなり執着しているのは確かなんですよね。そしてその愛ゆえに、ルシードの心に大きな傷が残ることを起こしそうな気がしてならないんですよ…。ジル並に頭の回転が速いリドリスなだけに、周到に計画を進めていそうで怖い…。 肝心の仮面夫婦については、「可愛がる」についてのやり取りが最高でした。予想の斜め上を行くジルの言葉に、うろたえながらもしっかりとツッコミを入れているルシードが笑えるw あんなに頭がいいのに、恋愛のこととなると途端にジルはとんちんかんなこと言いだすなぁ…。それに翻弄されるルシードがちょっと可哀想になったけれど、面白いからもっとやれ。 でも、ここまでお互いが好きで堪らないくせに、未だに両方片思いってどういうこと? 両想いだというのに! 2人ともあまりにも「相手には好きな人がいる」という思い込みが強すぎるが故に、相手のためを思ってやったことでも変な風に解釈して、どんどんすれ違ってるんですよねー…。というか、それ以前に2人とも早く恋心を自覚してくださいよ…。 マシアスの行方やリドリスの真意、シングレオ騎士団やゾルターク王との交渉、これだけでも頭が痛いのに、最後に更なる問題が持ち上がって…って、こんなところで終わるなんてー! 各国の思惑も気になるし、早く続きが読みたくて仕方ありません。 短編の「王様の猫の巻」はヴィスタンシア王とジルの姉・キキの話。とても奇妙な関係が出来上がっていましたが、これはこれでいいですねぇ。色々なことに疲れたハクラン王にとって、真っ直ぐで打算のないキキは唯一素の自分を曝け出せる相手なのかな。キキも何だかんだ言ってハクラン王を気に入るつつあるようだし。 彼らが本編でどのようにルシードたちに絡んでくるか楽しみです。 関連記事:5巻『プリンセスハーツ~初恋よ、きみに永遠のさよならをの巻~』の感想
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2009.08.14 Fri
伯爵と妖精 魔都に誘われた新婚旅行(ハネムーン) 谷瑞恵
「もう、がまんしないで……。あたしは、神さまに感謝してるわ。あなたが生まれてきたことも、出会えたことも」やっとの思いで結婚式を挙げたリディアとエドガーは、ブルターニュにある薔薇色海岸へ新婚旅行に発っていた。貴族や富豪が集まるこの高級リゾート地では、女性が次々に失踪する事件が起きていたのだが、どうやらそれには美しい海底の都の妖精が絡んでいるようで!? 「あなた、ご主人とは合わないように見えるわ」とリディアに囁きかける謎の女性も現れて……新婚二人の愛が試される!? (裏表紙とP225より引用)
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18巻。 前巻でやっと結婚し、今巻は新婚旅行編だったわけですが…甘ーい! 夫婦になれば当然夜の営みがあるわけで。それを下品にならない程度にほのめかしつつ、イチャイチャしている2人が砂吐きそうなぐらいに甘いです。結婚前だったら「はしたないわ!」とリディアに言われるような密着具合ですからねぇ。甘い、甘い。あぁ、でもリディアは結婚してもやっぱり恥ずかしがり屋さんで、ちょっとしたことにも赤くなっているのが本当に可愛い。逆にエドガーはちょっと調子に乗り過ぎだよね。リディアが幸せそうにしているのを見ると微笑ましくなるのに、エドガーだとなんか無性に頭を叩きたくなる…。 でも今回の事件ではっきりと示されたエドガーの「心の傷」を知ってしまうと、もっとリディアに甘えればいいとも思います。ただ、人前ではリディアが困るから自重しようね! 何だかんだ言ってエドガーはリディアに頭が上がらないし、リディアもエドガーにもっと歩み寄ろうと努力しているから、適当に折り合いつけて上手くやっていくんでしょうが。 今回の事件は、2人の愛を確かめるのがメインみたいなものだったので、プリンス関連はあまり話が進まず。妖精国や赤いムーンストーンについてほんの少しだけ明らかにはなったので、次回辺りから話が動いていくんでしょうかね。フランシスというキャラも新たに加わったわけだし。 それと前巻最後に言われていたケリーがリディアの侍女として再登場しましたが…予想以上に有能ですね! リディアより1つ下なのに、リディアをなだめ、エドガーを上手く説得する手腕に感心しました。でもレイヴン、いくらケリーの手慣れた言動に感心したからって、年頃の子に「年増くさい」はないだろ! しかも基本ケリーは眼中にないのを態度に出し過ぎです。ニコにはすぐに気付いて嬉しそうにしているくせに、ケリーには話しかけられるまで気付かないしなぁ…。天然というかかなり酷い態度なんですが、それが妙に可愛く見えるのはレイヴンだからこそですかね。だいぶ感情豊かになってきたし、ケリーとも上手くやっていけるようになるといいですね。実はいいコンビだと思うし。 最後は、相変わらずちょっとしたことで喧嘩になるリディアとエドガーにニヤニヤ。新刊も今月出たことだし、近いうちに読むつもりです。 関連記事:17巻『伯爵と妖精 すてきな結婚式のための魔法』の感想
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2009.08.09 Sun
プリンセスハーツ~初恋よ、君に永遠のさよならをの巻~ 高殿円
「貴殿に本当の勝利をお見せしよう、オース王子。そこで黙って見ているがよかろう」身分を隠すための仮装をして楽しむ、10年に一度の賭博祭の最中、アジェンセン公国北部のナンセで領主の継承問題が起こった。その頃ジルとルシードはお互いを思いやりながら、秘密裡に進めていることがあった。つけ込んで来たのは隣国の若き王子オース。13歳の彼は野心家で策略に富んでいて、ナンセを自分の支配下に置こうと考えたのだ。ジルとオースの知力合戦が始まった! その時ルシードは…?! (裏表紙とP179より引用)
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5巻。賭博祭編完結。 サラミスたちはもっと活躍すると思っていたので、冒頭以降はそんなに目立っていなかったのがちょっと残念。 賭博祭の最中にオズマニアの雹王子オースが来襲し、ナンセの領主問題等を巡って戦いの火蓋が切られた前巻。今巻はそこに領主候補であるサラミスたちの思惑も絡み、思いも寄らない方向へ事態が転がっていくわけですが、これらの問題が一気に片付く決勝トーナメントシーンは非常に盛り上がりました! オースに公衆の面前で追い詰められたところに、まさかのルシード大活躍。3巻でルシードが意外に武術面以外でも機転利くのは分かってはいましたが、ああも見事にあの状況を活用して主導権を奪い返すとは…。やっぱり君主としてどんどん成長していっているんだなぁ…。あまりのルシードのかっこよさに、ジルと同じくキュンときてしまいました。 もちろんジルも相変わらず恐ろしいほどの冴え渡りっぷり。それでも今回の勝因はルシードのあの行動が主なわけで、それを考えるとこの2人はそれぞれがお互いの欠けているところを補い合っているので、本当にお似合いの夫婦なんだなとしみじみ。 でも、なかなか進展しないんですよねぇー。今回はルシードの言葉にジルがいたく感激していたし、今度こそ来るか!?と期待していたんですが…ああ、うん、非常にジルらしい解釈ですね(遠い目)。思わずポロッと言葉が滑って狼狽するルシードにニヤニヤしていたのに、それに対するジルの「“お前を監視する”」発言に本気で噴き出しちゃいましたよ…。どこをどうやったら、あの言葉をそんな甘さの欠片もない意味に変換できるんですか!? それ以降も天然すぎるし。いや、でもいいんだ。十分にゴロゴロさせてもらったから。ルシード可哀想だけれど。めげるなルシード、頑張れルシード。 サブタイトルの「初恋」に関しては、主に男2人がさよならしてましたねー。一方はちょっと切なかったんですが、その後の記述からすると期待できなくもないかなと思ったり。そして雹王子の方は…そ、そっちだったのかー! てっきりケイカだと思っていたので、とてもびっくりしました。こちらもこちらで、過ぎ去ってしまった日々と現状が切なかったです…。 …ところで、ルシードはいつになったら「初恋」とさよならするんですか? ひとまず今回の事件も無事に収まりましたが、最後の最後に何故かあそこからのお誘いが。オースの言葉からしてもまたもやオズマニア方面で何かありそうだし(今度は父王直々?)、リドリスもそろそろ地下から出てきそうだし…。兄弟萌えとしてはリドリスが出てくるのは結構嬉しいんですが、とんでもないことをやらかしそうなのでそれを思うと…ブルブル。ルシード大好きなら、彼が悲しむようなことはやっちゃダメだよ! 魔の少女の言葉も気になるし、新刊読んだばかりなのにもう続きが読みたいです。 関連記事:4巻『プリンセスハーツ~恋とお忍びは王族のたしなみの巻~』の感想
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2009.08.02 Sun
伯爵と妖精 すてきな結婚式のための魔法 谷瑞恵
「リディア、きみのことは僕のすべてにかけて守る。だから、もういちど僕に与えられた高貴な義務を、いっしょに守っていってほしい」数々の障壁を乗り越えて、やっと結婚式を迎えることとなった妖精博士のリディアと妖精国伯爵エドガー。歴代の青騎士伯爵の結婚式に必ず招待しなければならないという5人の妖精から祝福を受けたが、実は6人目の妖精がいて、「結婚式など台無しにしてやる!」と宣言されて!? 昔、エドガーと何かあったらしい少女も現れて、雲ゆきはどんどん怪しくなり…。二人の結婚式、何かが起こる!? (裏表紙とP131より引用)
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17巻。『紳士淑女のための愛好者読本』を入れると18冊目。 ついにっ、やっとっ、結婚式! いやー長かったなぁ。幸せそうな表紙見ただけでニヤニヤしちゃいましたよ。 ただ、意外にあっさりと結婚式は終わってしまった気がする。冒頭で発生した数々の問題を解決して、最後に結婚式かと思っていたら、中盤でささっとやったのでちょっと拍子抜けしました。まぁ、結婚式も重要だけれど、当人たちにとってさらに重要なのは初夜だから、こんなものかな? しかしこの2人らしいと言えばらしいんですが、幸せ一杯の結婚式前後にもすれ違いで口喧嘩とは…。相変わらずお互いに言葉が足りないんですよねー。喧嘩の原因の1つが女性問題なのは、さすがエドガーというべきなのか…。リディアを本気に好きになる前の言動がアレだったので、自業自得ですね、うん。でも不安に思いつつもリディアがエドガーからの愛情を疑わないのを見ると、何だかんだ言ってこの2人の絆は強固なものになったんだなとしみじみ思います。だったら結婚式直後に喧嘩するなよという話ですが、きっとリディアもマリッジ・ブルーだったんですよね多分。…いや、この2人は今後もちょっとしたことで喧嘩して、自己嫌悪に陥って、そしてラブラブに仲直りする気がしますが…。 何にせよ、初めての…にはニヤニヤさせてもらいました。少しテンパってるリディア可愛い。 今回の事件に関しては、クレアは結局は被害者だったのでちょっと可哀想かなぁと。多少空気が読めていなかったものの、彼女なりに好きな人を守ろうと必死だったわけだし。踏んだり蹴ったりだった彼女がいつか幸せになってくれるといいと思います。 6人目の妖精は、終盤がなかなかに素晴らしいツンデレっぷりで思わずキュン。実はリディアの言葉がものすごく嬉しかったくせに、素直じゃないなあ! やっぱりリディアは、妖精の信頼を得るという点では一流の妖精博士ですね。 あとはレイヴンとニコのほのぼのとしたやり取りに和んだり、結婚後も変わらずリディアに協力してくれるケルピーにホッとしたり、色々と面白かったです。 最後のユリシスたちの会話からしてまだまだ問題は山積みですが、この2人ならきっと大丈夫と信じて続きも読みましょうかね。あの子も侍女としてやってくるようで、楽しみ。 関連記事:16巻『伯爵と妖精 誓いのキスを夜明けまでに』の感想
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2009.06.26 Fri
ブランデージの魔法の城 魔王子さまの嫁取りの話 橘香いくの
「のみこみの悪い女だな。そなたはわたしの息子を産むのだ。そのための結婚だ」元王子さまの魔術師ドナティアン・シャルル。彼は、森の奥の城で一人気ままに暮らしていた。ある日、跡継ぎをつくろうと思い立つと、魔法の水盤にこう問いかけた。『わたしの息子を産むのに、もっとも適した女を映しだせ』 ――麦わら色の髪の田舎娘が水面に映ると、彼は魔法の力でさらってきてしまうが…? 超傲慢。超わがまま。おまけに恋知らず。そんな魔王子さまのマジックラブストーリー! (裏表紙とP15より引用)
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自分の知識を受け継ぐ息子をつくるために嫁候補をさらった傲慢な魔王子ドナティアン・シャルルと、そんな彼に反発を抱く真面目で「平凡」な田舎娘アドリエンヌの物語。 雰囲気も文体もおとぎ話風の中、繰り広げられるドナティアン・シャルルとアドリエンヌのやり取りが良かったです。アドリエンヌをあくまで「息子をつくるための道具」としか見ない、傲慢なドナティアン・シャルル。そんな彼に「何なの、この人!」とプリプリ怒るアドリエンヌ。そんな2人が、何度も話していくうちに、自分の心の隙間を埋めてくれる相手にどんどん惹かれていくのにニヤニヤ。アドリエンヌは自分のことを「生真面目で平凡で退屈な女」で誰にも必要とされていないと悩んでいますが、そこにあんなことを言われたらそりゃコロッと惚れちゃいますよねぇー。王子美形だし。まぁ、無欲な上に皆から恐れられている魔王子を遠慮なく叱りつける時点で、アドリエンヌは王子の言うとおり「平凡」ではないと思います! 愛に飢えていた王子も王子で、真っ向から自分に向き合ってくるアドリエンヌに惹かれているし、このあたりの展開はベタながらもキュンときますね。 ただ、王子とアドリエンヌがくっつくのが早かったのはちょっと残念。100Pぐらいでくっついたので、「あれ? もう?」と思ってしまいました。元々は雑誌に収録されていた短編だったらしいから、仕方ないのかな。 アドリエンヌが王子と一緒に里帰りする「魔王子さまと里帰りの顛末」は、家族や村の皆の反応が面白かったです。プレゼントが功を奏して思ったよりも両親がすんなりと王子を受け容れてくれたのはいいんですが、村の皆は何度「人の話を聞け!」と思ったことか…。話の雰囲気で何となく憎めませんでしたが、よくよく考えると村人の行動は結構危ないですよね。あと王子に丸めこまれて言うことを聞いている弟たちが笑えるw 王子とアドリエンヌは途中ちょっとしたすれ違いがあったりもしましたが、最後のラブラブっぷりが良かったです。あの王子があんなことを言うなんて! ご馳走さまです。最後のファニーのちょっとした悪戯にもニヤリ。 確認してみたら、まだ収録されていない雑誌の短編が1つあるので、シリーズ化するのかなとちょっと期待してみたり。話的にそう長く続けられる話でもないと思いますが、2人のやり取りをもっと見たいので気長に待ちますかね。
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テーマ:コバルト ・ コバルト文庫 - ジャンル:本・雑誌
小説:著者名 た行
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